好きなことを、好きな分だけ。

世界一面白い日記書く人です。どんな名文よりもすばらしい駄文を書くために、日々精進しています。

【問題】生きるのが下手な蜘蛛

研究室のトイレに蜘蛛がいる。

コンビニへ歩いている途中に、研究室の先輩・塚本さんが突然話し出した。

そいつはずっとトイレにいる蜘蛛らしい。

いる場所は行くたびにコロコロ変わっていて、ある時は天井に、ある時は個室の入り口に、またある時は便器と便器の間に巣を構えている。

こいつは几帳面な蜘蛛なんだと塚本さんは言う。巣を新たに作るために、古い巣を毎回撤去しているらしい。

そんな馬鹿な事あるかと俺は思ったけれど、塚本さんは「古い巣を食べて新しい巣にリサイクルしている説」を固く信じているらしい。

しかし、うちのトイレは基本的に虫がいないので、獲物なんて来ないはずだ。

塚本さんも、だから見るたびにやせ細っているのだ、と言っていた(蜘蛛がやせ細っているなんてわかるのだろうか)。

俺はその蜘蛛を不幸な奴だと言った。塚本さんはその言葉に頷いた。巣をどこに張ったって虫なんてこないのに、と。

その蜘蛛はきっと、一生外の世界を知らずに、せこせこと巣をつくった挙句、餓死してしまう。

 

これと同じことはなにもこの蜘蛛にだけ当てはまることではない。

ある場所――会社、組織、サークル、部活、家庭…に入ってしまったことが原因で、外の世界を知らないまま、自分の他の可能性を知らないために、自分を活かしきれず死んでいく。これは全ての人に当てはまると思う。

 

外に出ればいろんな人に出会う。警察官、大工さん、料理人、水道局の人、コンビニの店員、医者、教師、学生、トラック運転手、自衛官。それこそ数えきれないほど多くの場所の人と出会うことになる。

自分がどこかに所属してしまえば、他の世界のことはほとんど知らずに死んでいく。

本当は今所属しているところが最善ではなくて、もっと自分が成功できて楽しめる場所があるのかもしれないのに。

 

そんなこと言ったって仕方ないじゃないか!

君の中のえなりかずきがそう叫んでいるのは俺も承知している。

どうあがいたって他の人生のパターンを知って吟味することなんてできないからだ。

研究室のトイレに籠るより公園の公衆トイレに籠るほうが獲物は集まっていると知っていたなら、あの蜘蛛だってそうしているはずだ。

でも実際は研究室のトイレにいる。

結局のところ、ほかの環境が自分に合っているとか、そういったことは外からでは本質的に理解できない部分なのだろう。

どうすれば、自分が最も幸福になれる場所を見つけられるのだろうか?

 

これは誰だって抱きうる問いだと思う。俺だって時々考える。俺は将来研究者になろうとしている。これは俺が幸せになれる道なのか?これが正しい道なのか?何度も何度も繰り返した問いだ。

 

この答えはいまだに出ていない。またなにか考えられたら書こうと思うし、この日記を読んでる人で、もしなにか考えたことがあれば教えてほしい。

 

 

ちょっと暗い、難しい話をしてしまったので明るい話を一つだけ。

母からこんなLINEが届いた。消している部分は俺の住む地域と俺の名前である。

 

f:id:sukinabundake:20200916225614j:plain

「OOくんに会いたいんです 話したいやろ」

彼女か!!一瞬ギャルゲーかなにかかと錯覚してしまったぞ。

それにしてもこの時の俺の食い下がり方は半端ではない。どんだけ来てほしくないんだよお前って感じですね。

ちなみにその後のLINEで「一緒にごはん食べたりショッピング行ったりしよー」って来たのでおそらく相手は将来の彼女です(錯乱)。

とにもかくにも両親がくる。構えておかなければならない。

f:id:sukinabundake:20200916225608j:plain